Financial Times

【Financial Times英語】「土地の収奪:食糧の安全を求めて、政府が不満の種を撒く」

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Land grabs: governments seeking food security sow the seeds of discontent

要約

食料確保のために、各国政府や民間企業が外国(主にアフリカ)の広大な農地を取得する取引が活発化しているとのこと。
こういった取引は現地の国民と取得した国・企業との間での利害対立を多く生むだろうが、このような取引は一層進むだろうとのこと。

There will be plenty more scuffles between local populations and new global landlords. But such fights are unlikely to stem the tide of land investment.

単語・表現

  • dash for food 食べ物の争奪戦、「何かに向かって争って向かう」=ダッシュの用例として面白いですね!
  • exacerbate 直訳では「亢進」、更に活発になること。
  • scuffle 小競り合い。もみ合い。

感想

契約による土地の売買・権利の売買を通じて食料確保をするのは、武力による資源確保をしていた植民地支配とイコールではないのでしょうが、どこか本質的に似ているように思われます。

外貨による投資について規制を設ける流れ(いわゆるFDI規制)も加速しそう。日本では安全保障に重要な一定の地域に限って土地取得の事前届出義務が生じますが(重要土地取引規制法)、これは全く別の観点ですね。もっとも、発展途上国にはもとから外国人土地所有の禁止の規制がある国も少なくないようです)。

また、このような取引を行う当事者の企業側(マダガスカルに広大な土地を無料取得した企業の事例)の発言として、

We want to plant corn there to ensure our food security.

Food can be a weapon in this world.

という買い手側の発言が紹介されていましたが、現地の雇用創出の影響もそれほど多いとは思えないので、売り手側が無償で提供することにした背景が気になります。